えみこ日記

医療制度改革についての学習会に出席しました

2007.10.16 Tuesday

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     昨日は、社団法人「東京自治研究センター」の月例フォーラムに参加しました。
     今回から3回にわたって行うテーマは「医療制度改革」。政府は来年4月からの高齢者医療費の負担増の凍結を07補正予算でまかなうという方針を決めているとの報道がされていますが、タイムリーなテーマとあって、大勢の受講者がいました。
     講師は、今年4月から淑徳大学准教授に就任された結城康博さん(前新宿区職員)で、現場もよく知っている方なので本音を交えてのお話に大変好感が持てました。お住まいが越谷市ということで、講義の後名刺交換をした際、「何かあったら呼んでください。」と気軽に言ってくださったので、今後、勉強会を開く際にはぜひお願いしようかと思っています。

     ところで、今日は前々から見たいと思っていたマイケル・ムーアの新作で、アメリカの医療制度を痛烈に批判している「SiCKO」(シッコ)を見てきました。この映画は医療分野に規制緩和を導入し、市場原理で営利企業を参入させれば、国民にとってどういう残酷な事態になるかということを、私たちに執拗なまでに教えてくれます。
     医療従事者のみならず、政治家はもちろん多くの日本人にとっても必見の映画です。

     日本は昭和36年(1961年)に国民皆保険になり 、これにより、世界でもトップクラスの医療が受けられ、平均寿命も男女とも世界一、乳児の死亡率も低いのは、安心のための医療が保証されているお陰だと思います。全額無料というカナダ、イギリスやフランス、キューバの医療制度には及びませんが・・・ 
     その医療制度が、昨年6月に成立した「医療改革法」に基づいて、来年4月から今大きく変わろうとしています。果たしてこれは本当に国民にとって良いことなのでしょうか。いつでもどこでも医療が受けられることは、ごく当たり前と思っていた日本の医療制度について、もう一度みんなでよく考える必要があると強く思いました。あとで後悔しないためにも・・・

    まず、やってみてから考えませんか?

    2007.10.15 Monday

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       地方議会で,土・日・夜間議会の開催が広がっているそうです。企業でも個人投資家を意識して、週末に株主総会を開くところが増えているそうですが、生活スタイルが多様化したといっても、まだまだ多くの市民が働いている昼間に議会を開催しても、傍聴できるのは限られた人です。

       どこの議場でも傍聴人が来ることを前提に傍聴席は設けていますが、「どうしたら多くの方に傍聴に来ていただけるか?」という議論が不足していたように思います。私も何度か、「土・日・夜間議会を開催してみたら・・・」と提言していますが、その度に「職員の残業代がかかる。」という費用の面での否定的な意見が返ってくるばかりです。何の為に、土・日・夜間議会をするのかという視点が欠けているように思います。
       また、他市で土・日・夜間議会を実施した当初は、傍聴人が多いけれど、段々少なくなって結局中止したという例を出し、否定的な意見をいう人もいます。

       でも、一度も検討せずに後ろ向きの意見ばかり言っていても、何の進展もありません。試しに一度やってみて、それから継続するかどうかを考えてもいいのではないかと思います。あるいはアンケートをとってみるとか・・・

       全国市議会議長会によれば、週末議会開催市は2005年度は16市から、2006年度は21市と増加傾向にあり、更に2007年度だけでも大東市、伊達市、瑞穂市、三次市等も加わり、来年度以降実施を検討している松本市、観音寺市などもあるということで、今後増加することは明らかで、動きが加速していくことを歓迎しています。

       地方議会に市民の関心が高まれば、議員の緊張感も高まり、質問の質も向上、何よりも自治体チェック機能の向上に役立つし、おまけに投票率のアップにもつながる(?)と良い事づくめだと思いますので、八潮市議会でも、積極的に取り組んで欲しいと思っています。

       

      「自治基本条例」つくるプロセスが大事

      2007.10.14 Sunday

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         昨日は、越谷男女共同参画支援センター「ほっと越谷」で開かれた「大人の学校2007チャレンジ編」、「市民が取り組む自治基本条例のつくり方」に参加し、元大和市自治基本条例をつくる会会長の大田さんから話を聞きました。
         大和市では平成14年7月に「新しい公共を創造する市民活動推進条例」(通称協働条例)が制定され、「その協働の前提となる基本的指針が必要」と市民の中から自治基本条例制定を求める声があったことや、条例制定に前向きな市長や議員(一部)もあり、ニセコ町などが条例制定したことも追い風となり、平成14年10月に、全員公募市民(費用弁償など一切ない)26名と市職員5名(内公募2名)、1名の学識経験者( 牛山久仁彦明治大学教授)、ファシリテーターとして1名(コンサルタント)で構成される「大和市自治基本条例をつくる会」が発足した。

         26名の市民のうち、20名は何らかの市民活動、地域活動の経験者であったが、大田さんのように市の広報で募集を知り、「仕事以外で何かパブリックなことで責任を持つことも重要かな」と思い、初めて市のことに関わった人もいました。

         公募市民と言っても、自治基本条例についての認識の差もあることから、当初の半年間は運営方法や「自治基本条例がなぜ必要か。その意義などの学習会」を行ったそうです。この半年間は議論をする前の共通認識を醸成する上で大変役に立ったそうです。

         つくる会の運営方法は、市民が中心、事務局は企画部でしたが、裏方に徹し、市民と職員が同じテーブルで対等に議論。「市長、行政からの具体的な指示や要望は一切なし。ほぼ白紙委任だった」と聞きました。一部を除いてたいていの場合、「市民にすべてお任せします」と言いながら、市民を信用していないのか、素案は事務局が作成し、市民から意見を聞き少々訂正して、追認させるといったケースが多い八潮市の状況を目にしているので、目からうろこでした。こんな風に信頼されていれば、市民もやる気が出てくるだろうと思いました。 

         事実、大和市のつくる会の活動は、大変精力的で、素案策定までの580日間で、会内の会合119回、会外へのPI等63回を開催しています。単純に計算しても3日に1回の割合で活動しています。特筆すべきことは、PI活動の重視です。
         
         PI(パブリックインボルグメント)は「計画や政策の策定にあたり、広く市民の意見を聴取し、内容に反映させる市民参加の手法で、案をつくる段階から参加し、単なる意見表明に止まらず市民相互の議論、合意形成までをも視野に入れる点が特徴」ですが、大和市のつくる会はこのPIを重視し、その対象範囲は一般市民、自治会長、市民活動団体、商工会議所、青年会議所、高校生、市議会議員、市職員などで幅広い層への働きかけをしています。 
         最終案(条文まで自分たちで書いたそうです)には、70時間を費やし、途中で議論が中断しないように、時には市役所に泊り込んだこともあったそうです。(びっくりしました)
         最終的に平成16年の9月議会に、市長提案で上程されていますが、実態は「市民立法」の新しいケースだと思います。

         朝日新聞(平成16年10月7日付)の「ひと」欄に掲載された大田さんは、その記事の中で「仕事も含めて、ゼロから何かを生み出す喜びを初めて味わった。」「過程を大事にした市民自治の新しいモデルを示せたと誇りに思っている。」と語っています。こういった体験をした市民は、まちの宝になりますし、そういう人をひとりでも多く増やすことが、まちづくりの第一歩だと思っています。

         自治基本条例は2001年に北海道のニセコ町で制定されて以降、各地に
        広がっており、最近では、首長選で公約に掲げる候補者も少なくありません。既に、約80近い自治体で制定されており、今後更に加速することでしょう。八潮市のような後発組は、各地の先進条例を参考にすれば、そんなに時間をかけなくとも条例そのものはできるかもしれません。単に、条例をつくるだけなら、それでもいいかもしれませんが、それでは市の憲法ともいうべき自治基本条例が本当に市民に根付くかどうかははなはだ疑問です。
        どんな場合でも、『生みの苦しみ』が必要なのです。

         大田さんの講演後のパネルディスカッションのパネラーの一人である宮代町自治基本条例市民会議元委員長の阿部さんからも、「全国の自治体はそれぞれ事情も違うし、地域性もある。その地域の抱えている問題は何か、きちんと市民の間でじっくり議論しながら、地域にあった条例をつくることが大事。条例をつくるプロセスの方がむしろ大事。先進事例などむしろあまり参考にしない方が良い。」という貴重な助言に納得して帰ってきました。

         越谷市は平成21年3月議会に上程予定と聞きました。市民向けに行政主催で、明治大学の牛山教授を招いて、自治基本条例の学習会が既に2回開催されていると聞きました。そして、それに参加した市民を含めて、検討する市民委員会の委員を人数制限なしで募集し、勉強を始めています。また、昨日の「ほっと越谷」の勉強会のように、越谷市とNPO法人との協働で開催された学習会も行われています。
         だから、「八潮市も市民向けにまず勉強会から始めてみたらいかがでしょうか?」と提言してみたい。八潮市の新しい『憲法』をつくるのですから、市民大学のOBや、既存の団体代表(あて職ではない)ではない、すべて公募の市民によって、つくって欲しいと思います。幅広い意見を集約する為に、素案作成段階から(大和市のように)PIを使うことも必要だと思っています。