えみこ日記

逆転現象を修正しない八潮市議会 自分たちが制定した議会基本条例を理解していますか?

2019.08.27 Tuesday

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    8月16日に開催された議会運営委員会で協議された八潮市会議規則の一部改正案(議案提出権)について、明らかに地方自治法の改正趣旨に反する内容だった為、疑義を唱えたところ、昨日の議会運営委員会で意見を聴く場が設けられた。

    私は事前に調査した県内の状況やMLから得た全国の調査結果をまとめた資料を配布して説明した。特に、国立市議の重松議員からの分かりやすい説明も紹介しながら、八潮市議会の議案提出要件である人数が、地方自治法の改正の趣旨にそぐわないかを説明し、改正すべきことを訴えた。

    以下に、その重松さんからの説明を紹介しますが、これを読めば誰でも改正すべきと判断すると思うが、残念ながら八潮市議会ではそうならないのである。


    々駑市議会
    定数22名
    提出者他1名賛成者

    国立市議会の会議規則は八潮市議会(定数21名)、佐倉市(28名)、吉川市(20名)と同じで「2人以上の賛成者」となっています。
    「第13条 議員が議案を提出しようとするときは、その案をそなえ、理由を付け、法第112条第2項の規定によるものについては、所定の賛成者とともに連署し、その他のものについては2人以上の賛成者とともに連署して、議長に提出しなければならない。」

    なのに何故、提出者他1名の賛成者でよいかというと、「『2人以上の賛成者』の中に提出者も含まれる」と解釈しているからです。

    国立市の議会事務局は、地方議会研究会『議員・職員のための議会運営の実際』シリーズ(自治日報社、全24巻)を参考にしていますが、その第1巻(1985年初版)の「第9章 議案」に「2.議案の提出要件(提出者、賛成者)等」(p.360〜)を取り上げています。

    地方自治法第112条第2項「前項(注:団体意思決定議案のこと)の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の12分の1(注:当時は8分の1)以上の者の賛成がなければならない。」について、「『8分の1』の制約は審議能率を図るため、議案提出権の乱用を防止することを目的としていますので、提出者と賛成者の合計で8分の1以上いればよいのです…(中略)…制約を付したねらいから、提出者と賛成者の合計ということになります(行政実例昭31.9.28)」とあります。

    自治体議員の議案提出に人数要件が加えられた時の自治庁次長通知「地方自治法の一部を改正する法律及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法 律の整理に関する法律の施行に関する件(通知)(抄)」(1956年8月18日、自乙行発第24号)にも、以下の表記がありました。
    http://www.gichokai.gr.jp/keika_gaiyo/pdf/s31_sikou.pdf
    「本改正は、国会法の改正にも照応し議事の合理的な運営を期するため行われたものであるが、改正の趣旨を逸脱し、仮りにも小数会派の正当な発議を封殺するようなことがない
    よう、特に運営上注意を要するものであること。なお議案の提出については発議者は賛成者に含めて計算してさしつかえないこと。」

    実は上記シリーズ本では、意見書・決議案のような機関意思決定議案(会議規則で賛成者)については「提出者と賛成者の関係について、◯人以上の賛成者とは発議を除いたものを指すこととし、この結果、法112条の『8分の1』(注:当時)の解釈(提出者と賛成者を含む)とは考え方を異にしています」(p.374)と明記しているので、ここの部分だけをとって、八潮市議会のように「提出者と別に賛成者が2人必要」と解釈している議会があるかもしれません。

    ところが、同書ではこの後にすぐ「賛成者の取り扱いを団体意思決定議案と機関意思決定議案で異にする解釈は適当ではないので、後者についても賛成者の中に発議者を含むと解すべきであるとの見解があります(『地方自治』51年8月号、今藤正行『逐条会議規則提義』)」との異説も紹介しています。
    同書はこの(解釈を分ける)異説には、「『◯人以上の賛成者』は各議会で定めればよいのです」と反論していますが、続けて「標準会議規則第14条が機関意思決定議案の要件を特に『◯人』と規定していることは、団体意思決定議案の『8分の1』(注:当時)と同じ要件を考えているのではなく、『8分の1』よりも、ゆるやかな要件を考慮しているものと思われます。この『◯人』について、西沢晢四郎氏(元衆議院法制局長)は『8分の1と標準会議規則第16条の規定による普通の動議成立に要する員数との中間で、各地方議会において適当とする員数に定めるのが妥当である』と述べています(『地方議会の運営II』)」と記述しています。

    同シリーズを監修した地方議会研究会の当時の代表は「外交や国政課題などについての意思表明は慎むべき」との信念を現在でも持っていらっしゃる野村稔さん(元・全国都道府県議会議長会)なので、特に議員提案については保守的な解釈ですし、しかも35年前の記述です。
    しかし、それでも「団体意思決定議案>機関意思決定議案>動議」と、議案の重さと提出要件を比例させる立場に立っています。

    その後、地方分権の中で団体意思決定議案の提出要件は賛成者12分の1に下がり、どの議会も30年前から議員定数を減らしてきているので、八潮市議会のように、軽い機関意思決定議案の方が、重い団体意思決定議案よりも提出ハードルが高くなってしまっている逆転現象はおかしなことです。

    正攻法では、会議規則を「1人以上の賛成者」に改定すればよいのですが、国立市議会のように「団体意思決定議案と同様、機関意思決定議案の賛成者には提出者を含む」と規則解釈を変更すれば、逆転現象は是正されます。

    なお、国立市議会は誰でも賛成者一人で条例改定案も決議・意見書案も修正動議も出せます。


    八潮市議会会議規則では、団体意思決定議案>機関意思決定議案>動議と、議案の重さと提出要件が逆比例の状況になっている為、修正した案を出すか、もしくはもう少し調査し議論をしてから12月議会に提案してはどうかと提案した。事務局の話では、9月議会に上程しなくても何の支障もないとのことであった。

    八潮市議会は今年3月20日に議会基本条例を全会一致で可決している。議議会本条例の第2条には以下のように規定されている。
    (議会の責務及び活動原則)
    第2条 議会は、市民の意見の把握と調整を図り、市の発展のために様々 な方法から適切な選択をし、次に掲げる原則に基づき、活動を行わなけ ればならない。
    ⑴ 公正性、透明性等を確保し、市民に信頼される開かれた議会を目指すこと。
    ⑵ 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に 努めること。
    ⑶ 市の条例、規則等に対し、常に検証を行うこと。
    ⑷ 市民の傍聴意欲が高まるように、わかりやすく工夫した議会運営を 行うこと。

    本来なら、議員定数を変えた際に、八潮市議会会議規則も変えるべきだったのに、それを放置してきたのは、私も含めて議会全体の責任であり、事務局の責任も大きい。

    今回、県内の状況を調査して分かったことは、なかなかそこまで気が付かないというのが本当のところのようだ。だから、わかった段階で修正すれば良いのだが、それでも修正しないのは明らかにおかしい。

    変えない理由として、こんな意見があった。要は、最大会派の平成クラブでは、内部規定で5人の賛成者がいないと意見書等は提出できない。だから議案の提出要件を緩和し2名でも提案できるとなると、少数会派と最大会派に所属している議員との間に差が出るから不公平になる・・・とのこと。しかも多様性を尊重すべきとか意味不明のことを言っていた。

    私が問題提起しているのは、地方自治法改正に沿った議会全体のスタンスである。会派の内部規定に疑義があるなら、それは会派内で議論すべきことです。混同しないで欲しい。

    議会基本条例はアクセサリーではない。その条例に沿って議会改革を進めなければ意味がないのです。